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ザ・タンクのhorahukiのレビュー・感想・評価

ザ・タンク(2017年製作の映画)
3.0
閉鎖空間に閉じ込められた人たちが些細なことが原因で次第に狂っていくソリッドシチュエーションホラー。

本作も未体験ゾーンで公開された作品。ソリッドシチュエーションは大好きな設定なので、なかなか楽しめました♫でも出来としては結構微妙かも…。

あらすじ…
宇宙飛行士の訓練の一環で、南極に設置された狭いタンクの中で過ごすことになった6人の男女。タンクは施錠され外からしか開けられないため、訓練終了まで400日以上タンクの中で共同生活を強いられる。最初は仲良く過ごしていたクルーたちだったが、次第に不穏な空気が流れ始め…。

閉鎖空間での異常心理を描く作品は今となっては目新しいものではないですが、一定以上の面白さは確保されるので製作側からしたら便利な設定ですよね。

本作は実話ベースなようで、そのせいもあってか完全創作の同様の作品と比べると、イマイチインパクトに欠けるように思います。

最初は仲良く楽しく過ごしていたクルーたちですが、普段なら笑って流せるようなほんの些細な不満が次第に積み重なって行く。日常生活であれば発散することもできるけど、タンクの中ではそのはけ口もなく、少しずつ積み重なった違和感は自分の内面へと向けられ硬い殻を形づくる。人間関係の少しの歪みと出口のないタンクという異常空間が心的ストレスを最大限に高めてしまう。

その爆発が中盤に配置されてるのですが、狂い様はなかなか良かったし、もしかしたら狂ってる奴の言ってることが正しいのかも…と思わせるような符号も良かった。でも、サラッとし過ぎなんですよね〜。そこをもっとネチネチ見たかった。

あと、事件が終わったあとの責任者の事情聴取的なシーンが冒頭から数回挿入されるせいで、本作の冒頭でコトの顛末がわかってしまうのがマイナス。前述の「符号」の可能性もここで崩れてしまうし、何より「この後どうなるの?」的なハラハラ感が全くない。後半は実話ベースな「現実感」はあったし、そこが本作のウリなのかもしれないけど、中盤にある見せ場以上のことが起こらないから蛇足に感じてしまうし、失速感がハンパない。本作も実話である事が足を引っ張ってしまった印象です。

そんな感じで色々書いちゃってますが、割とハラハラしてそれなりに面白かったと思います。でも、後半のやりようによってはもっと面白くなったと思うので少し残念ですね〜(^_^;)
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