鰹よろし

ザ・タンクの鰹よろしのレビュー・感想・評価

ザ・タンク(2017年製作の映画)
2.0
 閉鎖空間において人間の本性を露わにしようとする作品は数多くあるが、この作品はその多くが素っ飛ばす段階に焦点を当てているのが見どころか・・・

 最近スタンフォード監獄実験をやらせだとする新しい証拠が出てきた様だが、この界隈のモノは望むべく結果ありきで論じられる傾向のある分野である。にもかかわらず実験自体の正当性を確かめもせずに結果ばかりを重んじてしまう節がある。そうかもしれない…そうあるべきだ…そうあってほしくない…といったバイアスがかかるが故…としてその捉え方に関しそれはそれで面白い分析ができるわけだけど…

 実験そもそもに不備があった。被験者も適格ではなかった。として実験の正当性に関しての議論を併行させることで、晒された環境により人間の本性が露わになったのではなく、望むべく人間の本性を表出させるために環境が整備されたのではないか?として趣旨が反転して見えてくる。

 どこまでが実験でどこまでが現実なのか?…と曖昧化する現実味に信憑性にと被験者と実験従事者(実施者)とで実験の内外から、そして何かしらのバイアスのかかった鑑賞者とで作品の内外から迫るお話として観れば面白いのかな?
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