南沙良目当てで鑑賞。
吃音症の女子高生が自身とは違った意味で、殻を破れない同級生と共に成長する青春もの。
ブルーリボン賞を受た南沙良の芝居が大きな見所。
いつしか吃音症を患った志乃は、高校に入学するものの、最初の自己紹介がうまく行かず、笑い物にされてしまう。
それ以降、更に殻に閉じこもる事になるのだが、同じクラスの加代の事が気になり始める。
結果、ふたりは意気投合し、バンドを組む事になるのだが…
一見、タイトルからして志乃ちゃんがひたすら可哀想と言った内容に思いがちだが、実は加代や同級生の男の子も同じ境遇だあるところは上手い。
自分の名前と言う最も分かりやすいアイデンティティを言えない志乃ちゃんの辛さや葛藤は、ただ名前が言えれば良いというような簡単なものでは無く、根深いものである事を知らされる。
そんな重いテーマをカラッとした色合いと友人とのどこかゆったりしたやり取りで表現していく中、南沙良の爆発的な芝居で一気に表面化されるところが素晴らしい。
病気の一言だけでは決して片付けられない一作である。