とても瑞々しくて、眩しくて、ビターな、素敵な青春映画だった。
原作未読。
感想を一言で言うなら、とにかく眩しかった。
こんなにキラキラした青春映画、久々に見た気がする。
監督の湯浅弘章さん、アイドルのMVを撮ったりしてるみたいなんですが、納得でした。
特に中盤のシーン、志乃と加代の2人で過ごす夏休みなんですが、もう…キラッキラ!です。
素敵なシーンでした…しかし物語はキラキラしたままでは終われないのですが。
役者陣、素晴らしかった。役の求めるキャストがビシッとハマってましたね。
志乃、ぐちゃぐちゃに泣く演技、見事でした。
そしてまた歌が良い…決してビックリする程上手いわけではない。だが、これ以外ない、というぐらい丁度良いんですよ。「あぁ、良いなぁ…」となる、そんな歌声でした。
加代も勿論いい表情をしていて良かったんですが、もう1人、少女2人の映画と見せかけて、実は菊地という少年が絶妙に良い。
いやこの感じは言葉じゃ伝えられないですが…絶妙です。絶妙としか言いようがない。
終盤、あるきっかけで物語が動き出すわけですが、このときの志乃の心情が掴みきれなかった。
そうですね…「なんでそこまで?」と、思ってしまいましたね。
変わったと思った自分が全然変わってなかったことが情けなかった…?
それとも、もっと百合的な捉え方してもいい…?
いや、"依存"と考えるべき…?
…などなど、ぐるぐる考えましたが、スッとハマらなかったなと。
ここでの動きが、ラストのオチへ繋がるわけなんですが、上手くノりきれなかった、解釈出来なかったかな、というのが正直な所。
それでも、その後回復へ向かってくれればまだ気持ちよく終われたと思うんですが、これが違うんですよね…ラストの姿は、ビターでした。
個人的な好みで言えば、もっと気持ち良い終わり方でも良かったのでは?と思いましたね。
と、最後は捉えきれなかった所もあったんですが、にも関わらず、全体の印象としては、爽やかでキラキラして素敵な作品だったなぁ…という気持ちになるので、映画全体の空気の作り方が上手かったんだろうなと思います。
湯浅弘章監督、今後も注目したい。