ブラックユーモアホフマン

志乃ちゃんは自分の名前が言えないのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

3.9
一人きりの方が気楽でいいや
そんな臆病な言い逃れはもう終わりにしなくちゃ

序盤が泣けて泣けて仕方なかった。
ひとりぼっちの志乃ちゃん、やっとできた友達の加代ちゃん、という序盤の描写がすごく丁寧で切なくて、他で見たことなくて、素晴らしかった。ものすごく共感してしまって序盤ずっと泣きっぱなしだった。
決着の仕方は、なんかちょっと違ったような気がしないでも……概ね納得はするんだけど。
山田キヌヲさん演じる担任の先生が最悪でしたよね。悪意がないところがまた最悪で。この映画で菊地以上に憎まれ役だった。志乃ちゃんも菊地より先生の方が嫌いだったでしょ絶対。
菊地は菊地でね…ああいうヤツってどうすればいいんだろうね…と頭を抱えてしまった。早く菊地にも親友ができてほしい。とか言って。人に押し付けてんじゃねえよと言われるとぐうの音も出ない。ムズイ。
これは好みかもしれないけど、歌われる曲それぞれの具体的な意味をもっとストーリーにリンクさせて欲しかった。
シング・ストリートと違って、ちゃんと歌唱や演奏やオリジナル曲のレベルが学生レベルなのが、リアルで、それがまた終わりを予感させて、良かった。シング・ストリートはシング・ストリートで、良いんだけど。
後にも先にも無い、その一瞬にしか無い尊ぶべき時間を描いた、美しく愛おしい百合青春映画。何か失って何かを得て、時間は過ぎていくんだなぁ。