horahuki

スキン・コレクターのhorahukiのレビュー・感想・評価

スキン・コレクター(2017年製作の映画)
3.4
かさぶたとか皮膚をペリペリ剥がすのが大好きな人(いるのか笑)には大変オススメな映画!

未体験ゾーン2018鑑賞8作目。
今回のラインナップは全体的にクオリティ高いですね!

あらすじ…
皮膚が凄いスピードで剥がれおちる奇病を患っている主人公。若くて美しいピアニストなんだけど、なぜかここ最近の記憶がない。病院を受診するも、次の予約日までに全身の皮膚が全部剥がれおちるのではないかという危機感に囚われた主人公は、人を殺して皮膚を移植することを考えるが…という話。

主人公しょっちゅうペリペリしてます。家帰るとペリペリ。鏡見てペリペリ。そして終いには他人の皮膚までペリペリ。そして剥がすだけでは飽き足らず、今度はペタペタ。他人の皮膚を自分の体にペタペタ。それで馴染んじゃうから凄い!

美に対する極端なまでの執着…100%の成功を確約するものではなくても、少しでも可能性があれば全てを投げ打ってでも美を求める。そして、その美への執着が狂気へと発展し、物凄いスピードで剥がれ落ちる肌が、美を失うことの恐怖を加速させ、モンスターへと変貌させる。

そして、本作が面白いのは記憶の欠落があること。記憶という内面的なアイデンティティと肌という外面的なものの両方を同時に失うことの恐怖は計り知れない。自分は何者なのか。主人公を狂気へと走らせるのは美への執着のみだけではなく、自分が自分でなくなることの恐怖。でも主人公の行動は、自分を保つものではなく、原題通り『Replace』というのが切ない。中身がなく外見まで変わってしまった自分は果たして自分なのか。

なぜ皮膚が剥がれ落ちるのか、なぜ主人公の記憶が曖昧なのかという謎については、序盤からしっかり伏線が張られ、中盤で謎解きがあって脚本としては丁寧なのですが、設定のインパクトに比べると、その後の展開が無難に落ち着いてしまってるのが少し残念。そして、せっかく記憶と肌という内外の両面からアイデンティティを描くような物語っぽく見せておいて、そこらへんがうまく描かれていないのが勿体無いように思いました。
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