アズマロルヴァケル

ドント・イットのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

ドント・イット(2016年製作の映画)
3.2
ある意味未体験だった映画

中年女性のソフィアはウェールズにある屋敷を借りて黒魔術の専門家ソロモンの指導をもとに8万ポンドのお金を支払ってある目的の為に黒魔術を使おうと考えていた。当初ソフィアは愛する人に会いたいと言ったのだが、趣旨を変えて死んだ息子に会いたいと言い、ソロモンはその目的に応じ、ソロモンはソフィアに黒魔術での指示をすることになった。かくして二人は準備を進め、借りている屋敷で何ヵ月かは黒魔術の儀式を行うことになり、ソロモンは屋敷のまわりに結界を描き、怪しげな儀式を行うこととなった。

えーと、あくまでも2回観た感想なのだが、実はこの映画は冒頭から一時間ぐらいまでは黒魔術を唱えるシーンばかりで、ラスト約29分で悪魔、つまりは「それ」が出てくるという展開でホラーというよりかは宗教色が強いオカルトスリラー?といった方がいいのではないかと思う。

なので、ソロモンやソフィアの人間描写がぐっと分かるものが会話になっているわけではなくアブラハムという儀式に関しての会話が多いのでハッキリ言えば海外の儀式を知らない人にはおいてけぼりにされる可能性が高い映画である。

意外に驚いたのは、真面目に儀式をやってるのかなぁと思ったら色々とえっ?って驚いてしまうところもチラホラで、ソロモンが腕から血を出してその血をコップに入れてソフィアに飲ませるところは許すし、ソロモンが背中に文字を書いたりしていたのはまあ許す。けど本当にガチで驚いたのはソロモンの個人的な趣味でソフィアを全裸にさせてコッソリオナニーをやってるところはえーーー!って思ってしまった。これじゃあ18禁コーナーのAVにあっても可笑しくないシーンだった。黒魔術の専門家とはいえ、幾ら40代ぐらいの女をオカズに自慰するなんて……流石に屋敷にずっといてたら性的なことをするのかと……。それで次のシーンになるとシチューに自分のおしっこを入れてソロモンに食わせるのだから女性っていい意味で恐ろしい。

で、もっと意外に驚いたのは実はもとからこの映画が復讐の為に黒魔術を……と宣伝していたものの、なんと本編で復讐のためにやってると分かるのは本編から51分頃でかなり遅く、それまでは息子に会いたいという理由なのでこれまた予想外でした。


ただ、問題はラストに関してなのだが、不気味で何やらただならぬことが起こる雰囲気は伝わるし、ソフィアの不安な気持ちは表現されてると思うが、ソフィアが大声で「嘘!どうして!」って叫ぶのがソロモンが死んだところではなく悪魔が目の前にいなかった?ときに叫んでいたのでタイミング違うんじゃ?と疑問になったり…。あとは肝心の悪魔が出るシーンが数分間ぐらいで、ソフィアが悪魔に襲われるシーンは敢えてBGMだけなのであくまでも儀式メインの映画かもしれないがソフィアの叫び声を挿入してもいいのではないかと思った。

それでも最後は意外とあるサプライズというか、感動的なシーンはあるのだが、それも宗教チックに描いているので曖昧に描いてはいるが、ラストのラストでここで派手にVFXを使うのかと思うとこれを観た海外の人はいかに感動になったのかなぁとは思った。

あくまでもネタバレしない程度に書いたものの、もしかしたら宗教についてもっと勉強したらこの映画の価値観が個人的に上がるのですが、なんせ「新クライモリ」同様に良くも悪くも騙される映画で、騙されたと思って皆見た方が丁度いい映画である。