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響 -HIBIKI-のチィのレビュー・感想・評価

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
3.8
平手友梨奈の元々の偶像と、未だによくわからない現実の姿が響のキャラクターと合って、響が彼女なのか、彼女が響なのかわからない不思議な感覚に陥った。彼女から発せられる「小説」への想いは真っ直ぐで澄んでいて眩しくて。でも言っていることは正しくて。というかこの映画が紡ぐ言葉は真っ直ぐで。小説がテーマだけど、私が映画に想う「観なきゃはじまらない」と同じことをビシッと言ってくれて本当に爽快だった。世間のイメージでつまんなそうとか決めつけて言いふらすのは一生懸命作った造り手、宣伝にとても失礼だし、自分がそう感じたから「観ない」という選択は自由だけどその押し付けと刷り込みはしてはいけないと思う。事実、正直本作に対しては映画が決まっても然程何の感情もわかずに、ふらふら〜〜っと映画館に訪れてしまったんだけど、観終わったいまこんなに清々しい気持ちを得ることができて本当に「観てよかった」。

特に冒頭の封筒のショットは、カメラに装着しているのか独特な撮り方で初めて観る発想にワクワクが止まらなかった。本の一ページをめくるたびに得るワクワクを平手友梨奈が何を紡ぎだすのか、アヤカウィルソンの叫びはどう展開されるのか、周りの大人たちはどう対応するのか分数が進むごとに巡りくる感覚が純粋に面白かった。何処が良かったと言われると説明がつかないけど忘れていた何かをハッと気づかせてくれたような気持ちを得た本作が好きです。
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