Yoshishun

響 -HIBIKI-のYoshishunのネタバレレビュー・内容・結末

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

結論から言うと、原作は読みたくなります。
ただ、それは映画が面白かったからではなく、単に映画だけではよくわからない部分はあるし、10冊分を2時間未満で纏めるのはかなり無謀だったんだと感じたからです。

衰退の一途を辿る文学界に突如現れた1人の天才・鮎喰響。周囲に囚われることなく、自分らしく生きる彼女の姿に周囲の人間に大きな影響を与えていく。主演は欅坂46の平手友梨奈。

まず、主演の平手友梨奈はすごく良かったと思います。寡黙でクールながら暴力的な女子高生を完璧に演じていたと思います。自分のイメージですが、TVで見ていてもどこかミステリアスな雰囲気のある方とは思っていたので、今回の役柄にはかなりマッチしていたと思います。他にアヤカ・ウィルソンのどこか憎めない感じや小栗旬のミステリアスながら人間味溢れる演技も良かったです。この映画に出てくる役者陣は全体的にかなり良かったと思います。

キャスティングには満足しています。ただストーリーとか設定はイマイチです。

例えば、活字文化が衰退の一途を辿る中、彗星の如く現れた新鋭作家が登場!……ですが、世間の反応がちょっと薄くないかと感じました。極めつけは響の通う大学。教室内でも誰も騒がないし、通常運転すぎて違和感を感じました。原作でも描かれていないとなると仕方ないとは思いますけど。あと両親が全く出てこないのが不自然に思いましたが、後から聞いてみれば原作にも全く登場しないとのことだったので問題なし。

多分原作では1巻分位使ってやるエピソードを2時間未満に凝縮しすぎてるのが最大の問題点ではないかと。ワンピースのアラバスタ編映画版と似たようなダイジェスト感。響と出会い、様々な人が心を動かされていく様子を時間をかけてやればまだ共感しやすかったかもしれませんが、何せ駆け足気味になっていたのが気になるところ。何にしても響ですし、響と出会う→常識が通じなくてイラッとする→しばらくして響の凄さに気づかされるの繰り返しなので、見ていて退屈さがあったのは否めません。

何はともあれ、原作を読まないことにはこの映画の全てを語ることはできないでしょうし、理解もできないとは思います。ただもう少し一つ一つのエピソードを掘り下げて、響以外のキャラクターにももっと魅力的に描いていいんじゃ?と思いました。タイトルが主人公の名前なのもあって、良い意味でも悪い意味でも、平手友梨奈の独り勝ち映画でした。
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