たつかわ

響 -HIBIKI-のたつかわのレビュー・感想・評価

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
4.0
大人が観ても響くメッセージがある

舌鋒鋭く、言われた相手が言い返せないような正論を言う、絶対に友達にしたくないし敵にしたくない主人公。そして尊敬する作家には尊敬の念を抱き、近作が駄作の作家には見下したりする少女でもある。そんな主人公を演じる平手は、まるで主人公が乗り移ったかのように、脚本が最初に出来上がった段階で「面白くならない」と言い放ったり、一方では自分が主人公を演じて、本当に大丈夫なのだろうかと撮影直前まで出演するのを考えるような繊細さを持つ。

本作は才能を持つ少女が、自分が書きたいこと書き、それを邪魔するのであれば、暴力も厭わない。そしてその暴力には彼女なりの正論があり、痛快さがある。一方で大人が観ても響くメッセージがある。例えば、北村有起哉が演じる人物は過去に芥川賞を取り、現在ではお昼のワイドショーに評論家のような顔で出ている人物がその一人である。主人公が北村に最近の作品が駄作である理由を聞くのだが、その答えは小説家にだけでなく、すべての成功した芸術家が共通する悩みでもある。

あと、主人公とアヤカ・ウィルソン演じる人物とのツンデレのようなやり取りが良かった。「お帰り」等。

続編がある終わり方で続編がもしあるのであれば、小栗旬の本の感想を主人公の口から聞きたい。

おススメです
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