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響 -HIBIKI-の10ku0のネタバレレビュー・内容・結末

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

生まれながらの天才というのはこういう人のことを云うのだと思うが、いやこれは良くも悪くもとんでもない作品かもしれない。

原作は試しに一巻だけを読むに留まったままであるが、確実に心は鷲掴みにされた。続きを読まないのは、優先すべき時間の使い方が別にあることや物を増やすのをなるべく控えてることが理由。

平手友梨奈に感じる、不可思議さと心に静かに燃える炎のようなオーラはまさに響の人物像にはまっている。

次に何をしでかすのか分からず、いつ爆発してもおかしくない爆弾を見ている感覚が終始襲い、すごくザワザワする。
これは響のあの眼差しのせいか。

自分の生き方を曲げず、思うままに口に出し行動してしまう彼女の姿はある意味羨ましくは思うが、こんな子ばかり増えてしまうと社会が崩壊してしまう危険性を感じずにはいられない。

編集者の花井が言うように
『自分一人で責任を取れるほど大人の社会は簡単じゃない』
これは、社会で生きるようになると特に痛感することだが、まさにその通りで。

これを観て、
『そうか、なんでも正直に生きていいんだ』と鵜呑みにし、勘違いして社会に出る若者が増えると困る。

ひとつ言えるのは、決して真似はするなということ。

自分を貫き通すということは、時に身勝手で、人を傷付けることにもなりかねない。

天才の影に、かつて栄光を手にした者の『惰性』と、それにしがみついている有り様や、何度となく命を削って生み出しても結果を出せない者の苦悩の方が遥かにえぐられるところがあった。

そもそも
なんのために作家になったのか
なんのために書いてるのか
世間の評価の多さや賞を獲ることで満足するのか
これらの疑問を根っこから掘り上げてくる、踏み切りでの響の言葉とあまりに常識外れな行動に絶句してしまう。

大ヒットこそしなかったが、どちらに捉えても衝撃で問題作。
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