回想シーンでご飯3杯いける

響 -HIBIKI-の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
4.0
映画のバイオレンス表現って、基本的に成人男子が暴力を振るうシーンが多いと思うのだが、本作は逆で、凄く大人しそうな女子高生が成人男子を殴る、蹴る。それだけでかなりインパクトとオリジナリティがある。良い意味で漫画っぽさを残した映画化作品だ。

出版不況の文学界に現れた15才の天才少女が、ベテラン作家や出版社の古臭い価値観に歯向かいながら、文字通り大人達に殴り込みをかける。面白いのが、主人公は所謂ヤンキー系のオラオラな感じではなく、純粋に文学を愛する大人しいキャラクターだという事。だからこそ、そこから洪水のように溢れ出る正論の嵐が潔く、観ていて本当にスッキリする。

「人が面白いと思った小説に作者の分際で何ケチつけてんのよ」

「太宰治も言ってるでしょ。小説家なら傑作一本書いて死になさい」

登場するベテランやライバル作家を100%悪い人間に描いておらず、主人公と出会う事で影響を受けていく展開になっているのも良い。

すぐに暴力に走ってしまう主人公の人物設定は賛否両論だろうが、漫画や映画はこのぐらいでちょうど良いと思う。むしろ韓国辺りでリメイクされれば、更に過激になるのではないだろうか? そっちも是非観てみたいので、実現しないかな?