サ

億男のサのネタバレレビュー・内容・結末

億男(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

めっちゃめっちゃ良い話だった。
涙こそ出なくともとても心がジーンとした。

まず、一男は、別にダメ男じゃない。
人間誰しもああなる可能性はある。
しかたない。

万佐子はほんとにまともで、子持ち女性ならみんな共感したはず。大きい家がなくてもいい、借金がすぐ片付かなくてもいい。ただ、カネでもモノでもない何か温かいもので心を満たし、幸せに暮らしたいだけ。(そうじゃない人もいるかもしれないけど)
最後の最後の自転車のシーンが個人的にはいちばん感動した。一男やっと気づいたかあああ、と思うと同時に映画を鑑賞してる自分もやっと気づくみたいな。そういうことかと。佐藤健がインタビューで「一男が最後に出した答えが好きです」と言っていたのが気になってたけど、非常に納得。

その最後の答えに行き着くまでをアシストしてくれる数多くのお金持ちたちが面白い。まず百瀬の名言「金はおまえの頭の中で行ったり来たりしてたもの。それだけ。」次に千住の名言「こんな紙っ切れーーー!!!!!」そして十和子「あの人と結婚して、やっとお金のことを考えなくて済む」
これらの人物により、お金って大したものじゃないじゃーん。と思えてくる。たしかに、九十九たちが会社を売却して手に入れた数億円は結局、紙。何かと交換しない限り、価値などうまない。そんな「紙っ切れ」よりは、「会社」の方がよっぽど価値がある。それを九十九は一生懸命言ってて、たしかにー!!!!ってなった。十和子が「みんなお金があるっていること自体に満足しちゃう」みたいなこと言ってて、私も「持ってるだけじゃ意味ないよな〜自己投資しないとな〜」派だったから十和子とハイタッチしたくなった。やっぱり使ってなんぼだ。

...というように、誰もが抱いているお金に対する価値観を試されたり、確認したり、悶々と考えたりできる映画。で、色々考えてる間に気づいたら大感動してる。

モロッコのシーンも、音楽も、序盤のパーティでみんな酔っ払ってるシーンさえも、美しかった。靴の中に忍ばせるやつ、私も旅行でやろうと思う。
サ