Akiyoshi

億男のAkiyoshiのレビュー・感想・評価

億男(2018年製作の映画)
4.0
「今までのなんだかんだとか これからがどうとか
心からどうでもいいんだ そんな事は

いや どうでもってそりゃ言い過ぎかも
いや 言い過ぎたけど
そう言ってやりたいんだ 大丈夫 分かっている」

話がしたいよ BUMP OF CHICKEN

お金持ちが偉い人に見える。お金を持っている人は幸せなのか。お金で買えないものはあるのか。お金に狂わされた人、支配された人、そしてお金とは何なのかを探し求めた人。

「人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ」

もしも3億円あったら何がしたいか。
僕ならまず「欲しいっちゃ欲しいけど別になくてもいいもの」を買い始めるだろう。自分の物欲ハードルが1段階下がると思う。例えばちょっとかわいいと思ったキーホルダーや、おしゃれな生活用品を買ったりする。あとは昔からやりたかったことをやろうとしたりする。働くことは放棄するかもしれない。

お金は人生を変える。それほどまでに強い力があったりもする。だからみんなお金に執着する。でもお金について知らないことは多い。好きな人に限って知らないのだ。

「億男」

1円と1万円の重さは同じ1g。調べればすぐ分かることなのに知らない人は多い。僕も知らなかった。お金が好きだったり、お金持ちになりたいと思っている人でこの真実を知っている人はどれだけいるだろうか。5000円札や100円が何gか分かるのだろうか。つまるところ、お金が好きじゃないのではないか。本当に興味があればお金の全てを知ろうとする。しかし知ろうともしなかった。つまり興味が無いということになる。好きでもないものが向こうからやってくるはずがない。本作「億男」にて高橋一生演じる九十九はそう語る。

佐藤健、高橋一生、藤原竜也、沢尻エリカ、北村一輝、池田エライザと僕の好きな人たちばかりが集まったので観るしかない気になっていた。結果的にはほのぼのとした佐藤健高橋一生のモロッコ旅行ドキュメンタリーとも思えるこのお話に僕は夢中になった。とても求心力のある作品である。

原作小説をすぐさま購入。それも夢中になって読破した。僕は川村元気と相性がいいのかな。「世界から猫が消えたなら」の時も映画と原作どちらも夢中になった。

本作映画版はふわふわした雰囲気があって結局何が言いたいのか分からないままでモヤモヤする感じがある。原作はそのモヤモヤを8割ほど解消するが、それでも様々なお金の価値観などに触れることで結局は自分自身がお金をどう抱えているかなと、考えさせたりする。あと原作ではラストでちょっとばかり清々しくなる。しかし映画億男と原作億男、どちらも良いのだ。

お金と人の関わりについて、うっすらとした答えが見えてくる。でも結論は自分で決めなきゃね。「夢になるといけねえ」。
Akiyoshi

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