図師雪鷹

億男の図師雪鷹のレビュー・感想・評価

億男(2018年製作の映画)
4.3
兄の保証人になり3000万の借金を抱えてしまい、現在、妻・娘と別居中の一男。借金を早く返すため、仕事の掛け持ちまでしていた。

だがある日、3億円が宝くじで当たる。

幸運に喜ぶも不安になった一男は、大学時代の友人、九十九のもとを訪ねる。九十九は大学を中退後、会社を興して億万長者になっていたので、お金の使い方に関する相談相手としてこれ以上ない存在だった。

そして一男は、九十九に3億円を持ち去られてしまう。彼との連絡は取れない。

借金を返せないと困るので仕方なく九十九の元同僚たちに手がかりを求める一男。九十九と同じように億万長者になっていた彼らは、お金に対する考え方がぶっ飛んでいて、一男の心を惑わす。その上、妻は、あることから離婚話を切り出す。

一男に、手に入れられるものはあるのか。


一男がはまった落とし穴はかなり身近な存在だ。ただ、それに対する対処は本当に人それぞれで明確な答えなど出せない。ちなみに、彼が最後に出した答えは別にそれほど意外なものではない。だが、その答えをちゃんと行動に移して本当に手に入れたいものを手中に収められるかはまた別問題だ。そこにはもちろん一男の人間性も関わってくる。
心優しく、たとえ見返りがなくとも人に尽くしてくれる一男。九十九はそんな人間性に心惹かれた。増大なお金では買えないものが一男にはあったのだ。九十九はお金のことを一番シビアに考えていたが、結局お金に自分の生き方を定められてしまった。
不器用な二人、九十九と一男の友情には鳥肌が立つほど感動した。


特に九十九を演じた高橋一生の演技に一番魅了させられた。かなり複雑なキャラクターだったが、すぐそこにいる感じがしてよかった。
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