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未来のミライのmichikoのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
3.0
本作が賛否両論というか批判が多い事は納得できる程、様々な問題点を感じた。ただ、僕はそこまで嫌いにはならなかった。それは兄と妹という二児の父である自分が、今まさにこの愛情不足を感じた兄の不条理な行動を浴びている真っ最中だからである。

妹が生まれたことで愛情不足を感じた兄が妹に嫉妬して問題行動を起こしてしまう。その兄の成長物語というテーマ自体は誰にでもイメージしやすいとは思う。ただ、本作は大冒険でもなく、分かりやすい成長でもなく、なかなかカタルシスを感じにくい。

兄は何度も刻まれた歴史に触れ、冒険をすることになる。冒険から戻ると何かを得たかもしれないが、再び愛情不足を感じ、また歴史に触れる冒険を繰り返す。成長しているのかどうか分かりづらいこのオムニバスのような繰り返しが、物語的につまらない反面、言ってもわからない・何度も繰り返す実にリアルな4歳児である様に思える。

問題点を挙げるとキリがないのだが、この異質なオムニバス構成に驚きと共感を覚え、間口は広そうに思われる本作は、実は非常にニッチな内容なのだと感じる。明日は今日よりも真摯に子供と向き合おう、そう思わせる作品。
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