ちろる

未来のミライのちろるのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
3.5
まず、「バケモノの子」よりは少しだけ内容が楽しめたのは安心しました。
比較的子ども連れの多い二子玉109シネマズで観たのですが子どもと大人両方の視点で描いたという点においては夏休みムービーとしていいのかもしれません。
ただ、やっぱりストーリーの繋がりが乏しく、バケモノの子同様「WHY」の部分の説明が無い!そのせいで全然物語に深みが出ていないのはちょっと残念でした。
なにより「未来のミライ」というタイトルの意味、未来ちゃんと共に時空の旅をしたりするのかと思いきや、そうでもないのでこのタイトルはミスリードなのでは?

以下少しネタバレあり↓

個人的に自分のルーツを巡る成長物語という類のストーリーは好きなので、ひいおじいちゃんのエピソードなんかはグッときてしまったからもっと深く描いて欲しかった。
そもそも先祖代々受け継がれた土地というわけでもないから中庭という空間を時空の歪みにする意味合いが乏しいし、
くんちゃんは電車好きの鉄ちゃん設定なんだから後半のエピソードのように鉄道で時空の旅でもいいのではないか?とか
ってかひいおじいちゃんってお母さん側の方なのにくうちゃんがお父さんと間違えるというのもモヤモヤしたし、
何よりも未来ちゃんの手の痣の因果関係がお母さんのせいではないはずの子どもの頃のツバメの死が原因であるというのなら、その事を未来ちゃんが負うというエピソードもちょっと残酷すぎやしないか?
とまぁいくつかえ?というツッコミどころはあったせいで引き込まれるとまではいかなかったんだけど、くんちゃんのパパママの関係性とか、くんちゃんの未来ちゃんに対する苛立ちとか、そういう根底の感情はとてもリアルだったのでちょっともったいないなぁと感じてしまいました。

ノスタルジーを感じさせてくれるひいおじいちゃんとの乗馬やバイクのシーンは美しく感動するし、くんちゃんが迷子になってしまう未来の東京駅のシーンはとても摩訶不思議だったので、世界観は嫌じゃなかったんですが、どういう作品でどうだったのかって聞かれると、、、うーんとなってしまう惜しい作品でした。


P.S.東京駅の迷子のシーンあたりで親子連れのママがいきなりトイレに席を立ったらしく、ぼっちにされた息子くんがおかぁさサァーンと号泣しながら走って映画館を出て行くという生演出がわたしにとって最大に思い出に残るイケてるエピソードです。
たしかにあのシーンは子どもには怖いかもだよねぇ^^;
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