たく

未来のミライのたくのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
4.6
思ってたのとは全然違った!が、むしろそれが良かった!

子供の頃抱いた、なにとも言えない不安な感情。
もちろん兄弟/姉妹がいた方が共感しやすいシーンが多いとは思うけれど、この感情って誰でも抱くことがあると思う。(友達に対してとか

大人になったら忘れがちだけど、どうしてここまで的確に表せられるんだろう。。
例えば夜子供はもう眠っている時間(21時とか)に話す大人の会話を、うっすらと寝ぼけ眼で聞いてる感じ。「なんか難しそうな話してるなあ、スヤスヤ。。」と寝てしまう感じ。これって大人になったら忘れちゃうのに。

そんなシーンがたくさんある。
ものすごく大きい音に対する恐怖とか、ディズニーランドのジェットコースター、乗る直前のワクワクと恐怖が一緒にある感じとか。
劇場で観ないと体験具合が違うシーンが結構あるので、ぜひ劇場で観ていただきたい。

ところどころ要らないギャグっぽさとか, 同じ次元に同じ人物が存在できない感を最初に出しておきながら後々にあるキャラが同次元に存在してて「あれ?これっていいの?」って思うなど、うーん?なツッコミシーンはあるにはあるんだけど、それでもやっぱりテーマがしっかりしてて描き方がうまい。感情がちゃんとそこにある。

季節を巡って、ミライちゃんに乳歯が生え始めるとこも、小津安二郎的な、是枝裕和的な。これ、万引き家族じゃん!みたいな。

音楽の高木正勝も、ファンとしては「高木正勝だなあ〜」って分かるメロディなんだけど、Joe Hisaishiほど押し付けがましい出方をして来なくて、映画の絵に優しく添えていくメロディが最高です。
キャストもよいです!それぞれの声でしかないのに、そのキャラクターそのものとして観えるのがすごい!

スケールがどうとかは、そもそもテオ・アンゲロプロスの作品参考にしてる作家が描きたいとこ、そこじゃないじゃん!って感じです。

このタイムスリップ、もしかしたらクンちゃんのただの妄想だったのかもしれない。本当は全部夢の中の話だったかもしれない。
それでもよくて、それ議論にしたらアニメで描く意味もなくて。
4歳の男の子が、ちょっと家族に違和感とか不安を覚えて成長していく、そんなどこにでもある話が、ザ・ファンタジーとして描かれる。そんな映画です。

あ、あとクンちゃんは将来ドエムになるんだろうなあ、と思いました。
たく

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