さわら

未来のミライのさわらのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
1.5
なにひとつ“オレら”の話ではなかった。

小さいながら横浜に中庭付きの一軒家をもち(磯子区とはいえだ!)、育休明けにすぐに復帰できる仕事があり、週末には育児を手伝ってくれる祖父母が健在で、オシャレないい車に乗り、しかも美形家族だ。もしこれを大真面目に細田守自身が「普通だ」と思いながら作ってるなら、致命的だ。監督としての危機意識が足りなすぎる。

様々な人の“願い”が結実して成長していく、くんちゃんの一挙一足は大変ドラマチックだった。とはいえ、過去や未来に拘束され生きていく、“いま”の家族の有様は、不可避な事実とはいえなんと息苦しいことだろう。ポストジブリと言われようが、堂々と“気持ち悪さ”を突き進む歪んだ映像作家。恐るべし。