シネマJACKすぎうら

未来のミライのシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
4.5
主人公である4歳の男の子”くんちゃん”の造形が極めてリアル。思わず、自分の息子が4歳の頃を思い出してしまった。そして、それが自分自身の幼少期への記憶と繋がっていく。
さらには、世代的なものを超越した人と人との繋がりについて思いを馳せることに。この感情移入の連鎖こそが本作のツボ。
私は、ここにガッツリとハマってしまった。
実はこの物語、ある四歳の男のコの目をとおして描かれる、私たちの「クリスマス・キャロル」なのだ。


”くんちゃん”は一見、三頭身の典型的なマスコット的キャラにみえて、実はそうではない。極めて現実的な、観る者全てにとって感情移入すべき”器のようなもの”であり、また、社会の暖かさや孤独の恐怖に臨するためのシャーマンでもある。

ところがこの作品、客観的に一本の商業映画としてみると、前述した最大のツボにこそ、その欠点が潜んでいると言わざるを得ない。それは”くんちゃん”のリアリティーに、自分を重ねあわせてしまうような”経験”を持ち合わせていることが、本作を味わう為の必須条件となってしまう点にある。
実際、ここで”置いてけぼり”にされてしまう観客は、少なからずいるのではないだろうか。

私は、序盤からラストに至るまで終始涙を浮かべつつ鑑賞しながらも、同時にこんな”妄想”に駆られてしまった。「私がプロデューサーなら、完成した本作を観てどういう結論を出すのだろうか」と。

<※今回の評点は完全に私個人の主観に基づくものです。>

※本作のレビュー動画を配信中です!!
https://youtu.be/68Syh7UJUuY