あーさん

未来のミライのあーさんのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
-
サマー・ウォーズ、おおかみ子ども…にチャレンジするも、あまりハマれず、、
細田監督作品とは相性悪い?と思っていた。
今作も今一つの評判のようだし、あらすじを読む限りあんまりかな、とスルーするつもりだったのだが。。


なかなかどうして!!

山下達郎の素敵なサウンド「ミライのテーマ」に乗って、主人公くんちゃんの住む横浜の町からくんちゃんの家が俯瞰的にクローズアップされていくオープニング、、
思いの外、ワクワクしながら話に入り込んでいく私がいた。

素晴らしかったのが細部の描き込み。
ジブリ作品を観ていてもいつも思うが、同じ物語でも画にリアリティがあるかないかで、こちらに働きかけてくる印象が全然違う。
窓に息を吐きかけるくんちゃん。
ハラハラと上の方から雪が降ってくるシーン。
お布団でお尻を突き出して寝ているくんちゃん(本当に子どもはこんな寝方をする!笑)。
プラレールに占拠された部屋。
嬉しそうに走り回る犬のゆっこ。
なんか、うちの子ども達が小さかった頃を思い出してクスッと笑ってしまうような、子育てあるあるの数々。

くんちゃんが次元を超える時の演出が、ちょっとオーバーで気にならなくもないけれど、
これは何度も観たくなるなぁ。。

たくさんのエピソードの積み重ねから、とてもたくさんのメッセージを感じる。

すぐ"好きくない!"と言うくんちゃんのわがままさが鼻に付くかと危惧したが、何のことはない、かわいいものだ。
というか、こんな風にお父さんやお母さんに駄々をこねられる子どもは至って健全!(それにしても長男なのにね笑)
私自身は長女だった故に、くんちゃんとは逆で素直に感情を表に出せないまま大きくなってしまったので、何とも羨ましいなと思う。
こうやって子どもは、未熟な自分を成長させながら大きくなっていく。一つ一つ乗り越えて大人になっていくのだ。

だって、一人っ子で自分が家族の中心だったのに、急に妹ができたって言われても、心の準備ができてないよ!
赤ちゃんが可愛くないわけじゃないけどさ。
みんな赤ちゃんのことばっかりで、僕のことなんて見てくれない。
僕は可愛くないんだーってくんちゃんの心の声。
そうだよね、お父さんもお母さんもじいじもばあばも、前はくんちゃんが一番だったのにね。

そんな自分を持て余して泣き叫び、お父さんやお母さんに甘える4歳児のくんちゃん。
そんなくんちゃんの成長と共に描かれるのが、お父さんの成長。子育てや家事の大変さがわかり、不器用ながらも少しずつ変わっていく姿が良い。
そして、お母さんが"仕事と育児をきちんとしたいのにできない、怒ってばかりで私は良いお母さんじゃないのかなって思う"と心の内をおばあちゃんに打ち明けるシーンは、身につまされてジーンとくる。
"子育てに願いは大事よ"というおばあちゃんの言葉に、私もウルッとなってしまった。

家族が一人増える、ということでそれぞれが変わっていかざるを得なくて、皆余裕がなくてバタバタするのだけれど、その描かれ方がとても自然。
等身大、というのかな。
"ほどほどでいいんじゃない?最悪じゃなければ" とお母さんがお父さんに向かっていう言葉。
これは子育ての極意ですぞ!

そんなわけで、家の中の出来事が中心で、スケールの大きな話ではない。
何故か赤ちゃんのはずの妹のミライちゃんが中学生になって未来からやって来たり(ややこしいっ)、くんちゃんが戦争を経験した今は亡き過去のひいおじいちゃんに会ったり、ゆっこの分身?に遭遇する中で、人の気持ちに気づいたり、できなかったことを頑張れるようになったりする、そんな小さな物語。

ひいおじいちゃんのカッコよさ、くんちゃんも引き継いでほしいなぁ。。

でも、、観ていて本当に小さなくんちゃんが一生懸命生きてるってことがわかって、とても嬉しかった。

色んな気持ちを思い出させてもらった。

とっても好きな作品になりました♡



*おまけ

やはり、皆さんおっしゃるようにくんちゃん役の上白石萌歌ちゃんの声には無理があったかなぁ。。
お父さん役の星野源もお母さん役の麻生久美子も好きなので嬉しかったけど、そのままだよね笑
ミライちゃん役の黒木華はわからなかった。
わからないってことは上手いってことだな、と。
あとおじいちゃんの役所広司、ひいおじいちゃんの福山雅治もわからなかった。

くんちゃんの声だけ少々違和感あったけど、物語も画も良かったから、そこまで気にならないといえば気にならなかったかな。




同世代のぴよぴよさんのあったかいレビューと息子世代のkoheiさんの肯定的なレビューを読ませてもらっての鑑賞でした😊

ありがとうございました!
あーさん

あーさん