yukihiro084

未来のミライのyukihiro084のレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
4.0
息子は妻にそっくりな性格だ。
妻も私にそっくりだと言う。
妻に言わせると、義父に似ていると言う。
先日、母と話した時に、僕の息子は
誰に似たのかね?と話したら、
亡くなった父に似ていると母は言う。
父にも義父にも全く似ていないと思うが、
結局、誰も

息子が僕に似ているとは
言ってくれたことがない。

日曜日、テレビが(空いていた)ので
極力目立たぬ動きで、録画してあった
今作を観始めると、(ご存知のように)
ほとんどの作品を寝てしまう妻が、
横に来て一緒になんと観始めた。
ゲームをやっていた息子も、
僕らの間に座ってやはり観始めた。
チョロっと横を見る。それは
奇跡の光景と言ってもいい光景だった。

大きな声で言います。
良かったです。僕は良かったです。
終盤の駅のシーンは、まぁなくても
よかったかな?と思わなくもない
ですけど、その後のシーンも
よかったです。

親になって、僕も妻も、
自分たちの親のことを想いました。
自分の親の若さや、
自分の親の未熟さや、
自分の親の未完成さや、
拙さや愚かさや不安、
きっと、そんなことを想いました。
初めてなのは、子供だけじゃ
ないってことも、
自分も出来ていなかったことに
怒っていることも、
大人になっても知らないことが
多いってことも。

初めて妻の実家に挨拶しに行った時、
義父は、ラジカセから
(クラシック全集)みたいなCDを流し
始めた。それは年季の入った家屋や、
ザ・日本のお袋料理とあまりにも
不釣り合いなクラシック曲で、思わず
『夕食の時は、いつもクラシックを
聴くんですか?』と義父に聞くと、
『我が家ではいつもです。』と
真顔で義父が言うので(嘘こけ)と
思っていたら、すかさず彼女が
『初めて聞いたよ』とツッコミ、
『奇遇ですね、お義父さん。
実は僕もなんですよ。』と返す。
あの日、僕はこの家の息子に
なりたいと思った。

電話で母と話した日、
母が憎んでもいたはずの
父の話が出てきて、ビックリした。
『優しくてね、いい男だったのよ。
お前よりもいい男だったわよ。
女は途切れることはなかったけど、
まぁいい男だったからねぇ。』
母は言う。初めて聞いた惚気だ。
似ている息子は
『きっとモテるわよ』らしい。

息子とふたり。横顔を見る。
君をカタチ作っているものは何かな?と
ふと思う。ある日、公園でお友達に
優しくしている息子に、優しいじゃん!
っと声をかけると、息子は言う。

『ほら僕、
お父さんに似て優しいから。』
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