主人公の男の子くんちゃんが、未来の妹と出会ったことをきっかけに、不思議な世界に迷い込む。
その中で、過去と未来を通し、成長していく様を幻想的に描いた作品。
日本ではなにかと酷評されているのにも関わらず、海外では、アカデミー賞やアニー賞、ゴールデングローブ賞にノミネートされるなどと、かなりの高評価を得ている。
米レビューサイトRotten Tomatoesでは、批評家の評価は92%フレッシュ、オーディエンスのスコアは90%フレッシュと軒並み上々。
なぜここまで国内と国外で差ができてしまっているのか?
おそらくその根元には、”映画を観る上での視点と観点の違い”にあると思います。
彼の作品の傾向を知っている方は、
「サマーウォーズ」「バケモノの子」などの、家族を巻き込んだ壮大な冒険活劇ファミリー映画を期待して観に行ったことでしょう。
そのような方が多い日本のオーディエンスの方々は、当然大衆向けのエンタメ作品として、本作を観るわけです。
それに対し、海外の評論家たちは、エンタメ作品としてだけでなく、芸術的な側面としての観点で本作を観る。
ここに日本のオーディエンスと、海外の評論家の決定的な観点の違いがあらわになっているのではないかと感じます。
実際に、海外の映画、テレビ週刊誌のHollywood reporterでは、本作をこう述べています。
「アニメの可愛さと注意深く観察されたリアリズムの間で優雅さを兼ね備えながら、特に大人と比較して重心が低いという事実をしっかりと理解し、犬や子供の動きや揺れ方を洞察力をもって捉えている」
つまり、エンタメとしての、観客からの視点ではなく、主人公の”男の子自身”の視点から見た世界をリアルに描けていることが、海外で賞されている要素の1つなのではないかと。
本作がストレートな冒険活劇ではなく、まるで子供がお昼寝の最中に観る夢のような不思議な世界観を切り取ったアート作品だということを受け入れることができた自分にとっては、
マンネリ化してきた細田守作品の流れを断ち切った新鮮な作品だと感じているのですが、
おそらく、冒険活劇を期待して観た方々は心底ガッカリしたことでしょう。
酷評されている方々のボロクソな感想とは違い、「バケモノの子」で、ガッカリさせられた分、本作は想像よりはるかに楽しめました。
ただ、くんちゃんの吹き替えはさすがに違和感がすごかったな。
最初あたりは、そこまで気にならなかったのですが、中盤あたりから、なんとも言えない違和感を感じてました。
完全にキャスティングミスですね。
おとなしく声優にやらせとけばよかったのに。
そこが一番の不満点。
ストーリー ★★★☆☆
キャラクター ★★★☆☆
演技 ★★★☆☆
映像 ★★★★☆
演出 ★★★☆☆
音楽 ★★☆☆☆