このレビューはネタバレを含みます
倉庫からの肉体的な脱出というのがメインであるが、本質とするところはおそらく鳥籠の中の鳥の処遇が何を意味するのかというところなのではないだろうか。
鳥籠からの解放もしくは鳥籠への束縛は何を意味するのか。籠の内の世界と外の世界とでそれぞれ秩序と無秩序、保護と自由、究極は生と死…の葛藤があり、いったいどちらが正しい在り方(選択)なのか。
夫に心身共に迎合服従するのみだっただろう1人の母親が、娘のためにも真っ当な人生を歩もうと過去と決別し逃れようともがく姿は、彼女と同じく父親の束縛に苦しむ男の子にはどのように映ったのか。
そして仕掛け人であった男の子の父親には、自らの手の中でしか生きられない(もしくは自らが息子を生かしているという実感?)としていた息子が、自らの呪縛から解き放たれようとする姿はどのように映ったのか。