さききち

15時17分、パリ行きのさききちのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.2
良かった。本当に良かった。
人生は選択の連続だけれど。いくら自分が選択したところで、変えられない運命や使命ってのは確実にある。ボンクラとかインテリとか生まれとか育ちとか国籍とか、関係ない。

中盤の観光パートは間延びを感じる箇所もあるが、「あの瞬間」に向けて運命が集約されていく時間を体感する必要不可欠なパートだ。観終わった今ではそう思う。

フィクションでもノンフィクションでもない、独特の肌触りの、しかしながら強く、とても強く胸を打つ、渾身の映像体験。

テロパートでの活劇だけを期待する者にはこの映画は合わないだろう。誰かがSNSで言っていた。この映画は想像力を必要とする映画だ、と。幼少期、青年期、観光パート。時折紛れ込む、通常なら描かれるシーンの明らかな不在。慣れないうちは違和感を感じた。この映画の1つの特異性。人生なんて説明されるものではないし、人が作った映画やゲームのように全てが説明されるわけではない。道標もない。この映画は、3人の「あの瞬間」までの人生。人生と想いを想像で補完し、「瞬間」まで共に歩む。それで観客も「同乗者」となる。
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