Kumonohate

15時17分、パリ行きのKumonohateのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
3.6
2015年、アムステルダム発パリ行きの列車内で起きたテロ事件と、そこに遭遇した、当時休暇中だった3人のアメリカ人男性の実話を元にしたお話。クリント・イーストウッド監督。

そりゃあ、賞賛すべき行いだし良い話だとも思うけど、わざわざ映画にするほどのドラマティックな話か? 「事実は小説よりも奇なり」的な驚きに溢れたエピソードか? 手に汗握るサスペンスか?

と、まずは思う

だが、3人の主人公をいずれも本人(つまり素人)に演じさせ、テロに遭った乗客も可能な限り本人に演じさせたというのが凄い!とも思う。途中のヨーロッパ旅行のシーンといい、クライマックスのシーンといい、かなり実験的で挑戦的な作品だとも思う。イーストウッド監督が辿り着いた、仙人的境地というか柳生石舟斎的境地というか、そんな心持ちで制作された侘び寂びな作品だとも思う。87歳にもなる老人に最先端を行かれているかと思うと悔しくもある。

その他にも、照明を使わないとか、ファーストテイクかセカンドテイクでオッケー出すとか、“余計な物を削ぎ落とす引き算の美学”だな〜と思う反面、年寄りが精神的にも肉体的にも省力化を図った結果だな〜とも思ったり。ホントこの監督は色々考えさせてくれる。

けど、観てる時はいちいちそんなことまで考えてるワケじゃないからなあ。
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