KenzOasis

15時17分、パリ行きのKenzOasisのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.5
「私を平和の道具にしてください」

2015年8月21日、15時17分。アムステルダム発、パリ行きの高速鉄道タラスで起きた銃乱射事件。
幼馴染で、親友だった3人の青年が運命的にその列車に乗り合わせ、事件を制圧した物語。

クリントイーストウッド、ここへきてこんなことをやってのけるのか。と思った。
すげえじいちゃんだな…かっこいい。87歳。長生きしてほしいなあ。

巨匠イーストウッド監督は「彼らは運命に導かれたのだと解釈している」とインタビューで語っていました。
近年、連続して実話を基に映画を製作してますが、個人的に分析するとしたら、「人間性はどのように育つか?」というのを問いかけているのかなあなんて感じます。
彼なりの答えも、明確には無いのかもしれません。実話にこだわっているということもなく、映画という手段で問いかけているわけです。と僕は思っています。

”誰にでも起こりうる”というリアルさが極限にまで到達している今作は、その問いかけが強く映る傑作になったと思います。

片親育ちだから、キリスト教学校育ちだから、親友との絆があったから、人を助けたくて入隊したから、3人は事件を制圧できたとかなんて直接の証明はできませんよね?
それぞれ、現代っ子らしい成長をしているんですよ。とんでもないエリートでもなく、むしろ落ちこぼれ扱いで、凄惨ないじめではないけど人気者でもなく変なやつって位置で、ADD持ってんじゃないの?なんて言われたり、適性がないからってことでたらい回しになったり、セルフィーとインスタに夢中だったり。別に、これだけは負けない!っていうのがあったわけでもないし。

なんなんでしょうね。こうして考えれば考えるだけ、『人間性の育ち』にいきつくんです。そこに関わるいろんなところに目がいく。
家庭環境、学校の教育、友人関係、軍隊の訓練とか。考えすぎって言われたら終了ですが観ていると、そういうことが沸々と湧いてきて。

もう列車のシーンがメインになってからはめちゃくちゃ感動してました。最後はわけもわからずめちゃくちゃ泣いてました。笑

すごい映画です。
KenzOasis

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