柏エシディシ

15時17分、パリ行きの柏エシディシのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
2.0
これはイーストウッド翁からの挑戦状というか宿題の様な一本。

実在の出来事を映画にするという手法は直近のイーストウッド作品の常套であり、ある意味、映画作品全体においても常套でもある訳ですが、それを本人達に演じさせるという「奇策」はおそろしく大胆なチャレンジ。

率直に言うと、自分はこの「映画」を面白いとは思えなかったのですが。
主人公達の英雄的行為には敬意を払いたいし、本人達を演出するというかなり難解な課題をさすがの手際でこなしてしまうイーストウッドの巨匠の業にも感嘆するものの、鑑賞中に心が大きく動く事は無かったのです。
実在の出来事を「映画化」するという事は(思えば当然の事なのですが)、もはや違うモノを生み出す行為であって、そこにリアリティは必要であってもリアルは必要ではない、という事なのかもしれません。少なくとも自分にとっては。

そもそも「本当にあった出来事」を映画にするという行為は「創作」として一体全体どういう事なのか。
そんな命題にまで思考が促されてしまう。
この映画自体がそんな問いかけの様に思えてしまう。
その時点で巨匠の掌かもしれませんし、イーストウッドやっぱりすげぇーとなるのですが、齢87歳の監督からすれば、そんな事はどこ吹く風。
「面白そうだから、やってみただけさ」とこともなげに言いそうですけれど。
柏エシディシ

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