『硫黄島からの手紙』以来、有名俳優による実話路線だった監督が取った手段が「本人」が演じるというものなので、そこばかり話題になるが、違った。
取材を兼ねた対話をするうち思いついたそうで、乗客の中にも当事者本人がいるという。
しかし、それはあくまでもイーストウッド監督が、ベストな表現として選んだだけなのだ。
だから、観光旅行のシーンも長いのは、彼らが普通の自撮り好きな若者で、その事件前の経験を入れただけなのだろう。ただ、事件の解決に繋がる布石は随所に散りばめられており、さすがだった。
そして、ラストの演説。国家の権威を示すためでもなく、人気取り(の国民栄誉賞)でもなく、人を顕彰する精神に感激した。
だが、日常の中に「軍隊」や州兵を含めた「兵隊」があるアメリカの姿(と対照的な日本の姿)が気になった。
そして、87歳の今もマルパソプロダクションでインディーズに映画を取り続ける監督には敬服する。