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15時17分、パリ行きのdojiのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
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ラストの勲章を授与される映像に静かに物語が接続されるとき、映画の登場人物たちがシームレスに現実の人物としてのリアリティを帯び、映画としての効果とても感じる。映画にする意味と美談というのは必ずしもイコールではないけれど、美しい話を映画にすることで生まれる感動は確かにあると思う。

なにしろいまこのスーパーヒーロー映画の時代、インスタ映えばかり意識して、なかなかうだつの上がらない日々を過ごす若者たちの人生を、ドラマとして映画にすることの意味はとても大きい。アクション映画ならきっともっと血が流れ、緊迫としたシーンはもっと長かったはずだったけれど、この映画では観客のだれもが心からそれを望まず、彼らの行動に真摯に胸を打たれるはずだ。現実と映画の関係を考えてしまうような作品だった。
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