Maki

15時17分、パリ行きのMakiのネタバレレビュー・内容・結末

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

原題:THE 15:17 TO PARIS
公開:2018年
鑑賞:動画配信
 
タリス銃乱射事件は当時かなり話題になった。
まるで映画じゃないかと賞賛されているうち
クリント・イーストウッドの映画化に驚いて
当事者達が自身を演じると聞いて二度驚いて
生い立ちや細かい偶然の重なりに三度驚いた。
 
幼馴染の三人。昔のエピソードのどこまでリアルか知らないけれど運命に導かれ「その場面」に引き寄せられてゆく展開に固唾を飲む。
クライマックス。犯人との対峙から確保に至るまで。その格闘にスマートさもヒーローっぽさもなく狭い空間でゴツゴツと叩き殴り捻り絞めを繰り返して無力化するのが生々しくて震えた。
 
観終わり調べたら彼ら三人だけでなく撃たれた男性と妻。救助した英国人。車内の乗客たち。警察や救急隊など大半を本人が演じていると知り!もう一度 観返してしまった。特に撃たれた男性は死に瀕したトラウマもあるでしょうによく引き受け演じたな…と感嘆するばかり。
 
タリス銃乱射事件では彼ら三人が偶然か運命かその車輌に居合わせた。彼らが居なければ大惨事だった。そして世に蔓延するテロの99%は「彼ら」の不在で大惨事になっているのを想うと憂鬱だ。現実にはヒーローなど滅多に居ないから自力でなんとかするしかない。
 
先日。新幹線でも無差別殺傷事件が起きた。街中も施設も交通機関も他人事ではない。SNSで「一目散に逃げた乗客」を非難する声の多さに目を疑う。鍛錬している軍人でも死を覚悟するのに。一般人が立ち向かうのは無理に決まっている。
 
彼らの生い立ち。実際の事件。映画。終わることのないテロ。報復の連鎖。日本でも身近にある無差別の脅威。まとめて考えているうちに涙が零れていた。
 
余談。
映画で触れられていないけれど主人公スペンサーは2カ月後。地元のバーで嫌がらせを受けていた女性を助けようとして刺され重症を負ったという後日談もある。このひと正義感の塊なんだ。今更だけど無理しないで…って云いたくなっちゃう。
Maki

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