mrかっちゃん

15時17分、パリ行きのmrかっちゃんのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.3
近年立て続けに実話ベースのノンフィクション映画を撮り続けている映画界の鉄人
クリントイーストウッド。

2015年で発生した列車内での銃乱射未遂事件。
その列車に乗り合わせ事件を食い止めた3人の若者たちの物語。
「アメリカンスナイパー」「ハドソン川の奇跡」と本人への敬意示しつつリアリティを重視し映画作品として職人とも言うべき安定したクオリティに仕上げるイーストウッド監督。

今作ではその3人の若者たちを演じているのがそのご本人さんというまさかのキャスティング。
更に事件で重傷を負い死にかけた夫とその妻。
彼ら3人に協力し犯人を拘束した男性もご本人です。
流石に犯人は役者さんですw

ある意味大博打とも呼べる大胆なキャスティングですが、イーストウッド監督の長年積み上げてきた経験と実績により成立した作品。
他の人だったらどうなっていたか想像もつきません。

今作は3人の事件に遭遇するまでの人生をしっかりと描いているのが特徴的。
軍人を目指し必死に努力するも挫折してしまうスペンサー。
スペンサーと同じ軍人を目指すアレク
2人の友人アンソニー。
極めてシンプルで余計なものは極限まで削ぎ落としながらも計算された映画的構成。
そして、テロリズムだけでなく人生論を考えさせられる作品のように思えた。

あなたが今まで歩んできた人生の中で、努力したのに結果が出なくて違う道を選ばざるを得なくなった事とか人生の中で色々な分岐点が何かしらあると思います。
今やっていることがいまは無意味のように思えてやりたくないと感じることもある。
けれど巡り巡って何かしらの形で、自分の武器に力に勇気に変わる瞬間が訪れる。
そう言ってるように思えて仕方なかった。

今年一年は私生活で色々あったので、その瞬間を手繰り寄せるために今できることを自分なりにやりたい。
いまはこの映画を観てそう思った。