興味深い。クリント・イーストウッドもまた「どうにもならない人生をどうにかして切り拓く」というテーマと愚直に対峙しているように感じられる。これまでのクリント・イーストウッド作品をきちんと観て来なかったのでそこから語ることは出来ないが、少なくともストーリー展開としては実に歪で三人の若者(特に、軍で志望していた部隊に入りたいと思い努力しても遂に入れなかった男)の半生にこそ焦点が当てられているので、肝腎の救出する場面が取ってつけたような感じになっている。あるいは、テロリストの視点を描写することも怠っているように感じられる。だがしかし、それらを犠牲にしてでも、大いなるものに突き動かされてままならない人生で「行動」を起こすことの重要さを描きたかったのではないか。そう考えてみればクリント・イーストウッドのブレてなさには驚かされる。ウェルメイドな作品ではないが、そこが良いとも言える難しい作品。