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ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「ジュリアス・シーザー」のTOTのレビュー・感想・評価

3.9
シェイクスピアのローマ政治劇、国を憂えるうちに大きな歴史の流れに嵌り込んでしまう個人の苦しみ、野心と理想の相克が装置と演出で立体的に現在に立ち上がる。
世相を反映して、ポピュリズムやブレグジット、中東情勢のキーが散りばめられ、立ち見客は知らぬ間に扇動する群衆の一部にされる恐ろしさ。
‪見所はやはり、高さ低さ形も変幻自在の舞台装置と、‪立ち見席に先導(扇動)する人を配し、客もローマ市民モブになる演出。‬
装置は客の足元きわきわで動くの凄かったな(動かない時は客が舞台に肘ついてて笑う。わかる、疲れちゃうよね)。
あと、全力でフロアをあっために来る前座が良い仕事をしていた。
‬かの有名な「ブルータス、お前もか」も聞けちゃいますが、当のブルータス演じるウィショーさんの流石の台詞回し流石。
登場するやいなや自分の本にサインしちゃう。
よっ!人気者!かっこいい!
キャシアスにミシェル・フェアリーの配役も良かった。二人の掛け合いが新鮮。‬
‪トランプを思わせる赤い帽子や、ブルータスの机の上の書籍(スターリン等)の小道具もキャッチー。
ただ、装置とモブ演出以外は淡白すぎる気がしたのと、私が舞台で、青春やフラストレーションの象徴とか誘爆剤みたいに使われるロックに懐疑的なので、そこは少し引っかかったりしました。‬
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