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ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「ジュリアス・シーザー」のchaooonのレビュー・感想・評価

4.0
シネ・リーブル池袋のNTLive夏祭りから3本目✨✨
シェイクスピア劇『ジュリアス・シーザー』を現代版にアレンジした一癖ある舞台。

演出は先日NTL版『夏の夜の夢』で感動体験を与えてくれたニコラス・ハイトナー✨
今作の方が先に上演された舞台。

演出も配役もなかなか変形演出だったので、これはオーソドックスな映画版を先に観といてよかった…!

スーツに身を包んだシーザーやブルータス、選挙キャンペーンのポスターやTシャツ、剣ではなく銃を握り、戦場のシーンも砂埃舞う紛争地帯のよう。
舞台の幕開けから、ケイティ・ペリーの”Roar♬”、サバイバーの”Eye of the Tiger♬”が鳴り響き、ライブステージのような異様な盛り上がり🎸⚡️
正直ここが1番テンションのピークってぐらい興奮❣️
(逆にいうとこういう展開がもうなかったので、ちょいとしんどかった…😂)

今回も縦横無尽に可動するステージに、アリーナ席の観客は全て立ち見でステージに合わせて移動。
それだけに留まらず、ローマの市民を観客に演じさせるという、巻き込み型の究極をいくスタイル✨

これは生で観て参加したら、凄んごいんだろうな🤩

そして今回も役の性別・人種に多様性を持たせたキャスティング!
ブルータスを言葉巧みに誘い込むキャシアスや、キャスカを女性が演じ、妻たちにはアフリカ系、アジア系の女優さんを起用。
こういうキャスティングは凄く話題になるっていう印象だったけど、NTLでは結構多用されてて、もうこういうのが普通になってきてるんだな🤔

キャシアス演じるミシェル・フェアリーは、ブルータスの精神面に揺さぶりを掛ける台詞の数々が、女性独特の感情面豊かな訴えかけ方で、策略だけでない想いを感じたのが印象的だった✨

映画では地味な印象だったキャスカは、アフリカ系女優アジョア・アンドーで、もう凄くカッコよかった😍
ホルスター付けてる姿も、陰謀画策も、予知夢の解釈をねじ曲げて説き伏せるシーンも、ひたすらクール✨

ハイトナーさんの女性役者への演出スパイスが凄く好きになった〜😍

主演のブルータス役にはベン・ウィショー❣️
これが1番のお目当てでした❣️❣️
ブルータスのイメージはなんとなく、人望厚く真摯で、堂々とした感じなんだけど、ウィショーは線の細さや演技の繊細さが前面に出ていて、とても思慮深いインテリ派な仕上がりだった!
なので後半の苦悩するあたりは、凄くハマっていた感じ✨

それでもやっぱりアントニー役に凄く旨味がある感じなのよね🤔
映画版は若々しい感じのアントニーだったけど、演じたデヴィッド・モリシーは年齢を重ねた重厚感と、野心を内に抱え込んだ曲者感が見事だった✨
出だしからいきなりジャージ姿で、朗々と登場するし、それまでのへり下った態度から、シーザー葬儀の語りで一気に豹変するシーンはやっぱりぐっと引き込まれる!

前半の陰謀画策から、シーザー暗殺、葬儀での演説の辺りまではかなり面白いんだけど、そのあとの権力争いの部分がひたすら陰鬱としてて(照明も暗い)、ラストへの盛り上がりにイマイチ欠けるなぁ…。
ジュリアス・シーザーという作品が、そこまで好きにはなれないかも…💦
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