VALAケミカル社を葬ろうと暗躍するレンデルと、独りの父親の転落人生とが交互に描かれていく…
これがどうもわかりにくいというか、いや顛末としてはそれしかないだろうという描かれ方ではあるのだけれども、それもこれも悪に対する正義の台頭というよりも、善と悪との境界線というところを明示する試みからなのだろう。
上と下と、表と裏と、現在と過去と…
どこかコメディタッチな指揮系統の乱れからその意志は正反対なところに向かう場合があることを示唆し、表向きな社会貢献の裏にある違法な人体実験は善と悪とは紙一重でもあることをまた暗示する。
そして独りの男に無かったはずの動機の確立の裏で見えてくる協力者だった女の正体。彼と切り離されていたモノが一つになる瞬間を目撃することで、対立の明確化とは逆に彼という正義の像がボヤけることになる。
悪と対峙する上で抑え込んでいた葛藤の表出は、彼を絶対的な正義の象徴ではなく、曖昧化する善と悪とに一線を画する存在へと変貌させる。
普通におもしろくなかった。