叡福寺清子

悪魔の奴隷の叡福寺清子のレビュー・感想・評価

悪魔の奴隷(2017年製作の映画)
3.3
友成純一氏のレポートを読まれた方はご存知でしょうけど,実はインドネシアってホラー映画大国でございます.中でも本作の監督ジョコ・アンワルはわかりやすくいうとインドネシアのジェームス・ワンみたいな方.そのワンにしたってお隣のマレーシア出身ですし,お寿司.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
元歌手だったけど今は寝たきりの枯れ木状態の母親.看病する家族.その家族の構成は祖母,両親,三男一女.声も出せない母親が用事あるときに鳴らすチリンチリン.夜中であっても呼び出され気が休まる暇もない.そんなある日母親が死去.しかしその日から鳴らないはずのチリンチリンが・・・
じっとりという言葉が最適な本作.高温多湿という気候風土を差っ引いても,画面はじっとりしておりました.特に自宅内の井戸部屋というかトイレも兼ねた水関係の部屋.マイナスイオンのおかげか,そこだけ冷気と霊気を纏った雰囲気になっておりまして,あんな湿気部屋が家の一部でいいのかと日本人の常識とはちょっと相容れないものがございました.
日本人の常識といえば,インドネシアも家の中では靴脱ぐのですね.いわゆる玄関というものはございませんでしたが.
そして土葬.ゾンビは土葬にかぎりやす.朽ちて爛れたり,またはミイラ化した死体がノソノソと歩く姿こそ風情がございましょう.ってあれ?やけに元気じゃな.うん,そこはもう一工夫.工夫といえばレコードの隠れた一曲,あれなんだったのかしら.
あれなんだったといえば,エンドロールのダンス.インドネシア風の演出かもしれないが,見慣れないこちらはキョトンとしちゃって,それまでの物語が全部吹っ飛ぶインパクトでございました.
インドネシア映画という事で東南アジアつながりから一つ言いたい.もうさ,DVDでも配信でもなんでもいいからさ,「The Art Of Devil」の2作目3作目を日本でも視聴できるようにしてくださいよ.こちとら10年以上待ってんだけど.