このレビューはネタバレを含みます
原作既読 Filmarks試写会にて
・所々原作の内容が省かれてたこともあってか展開は早かった印象 (良く言えば必要な部分だけをかいつまんでテンポよく進んでるんだけど)母親の加速していく狂気とも相待って最後の山場まで若干置いてけぼりにされてる感否めない
・「人魚の眠る家」を視覚的に表現しているのが良かった 外で降り続ける雨とか家にある海の中を思わせる様々な装飾とか あと所々で画面に差し込まれていた光が、水中に差し込んでくる光を連想させていて、それがかなり好きだった
・幸せだった日々、幸せが続くはずだった日々との対比がすごく辛い 誰も悪くないのに誰もが苦しんでいるし、しかも誰にもどうにも出来ないから観てるこちらまで痛いほど悲しくなる
・眠っている(脳死している)人間を機械からの電気信号によって動かす不気味さ、それに対する嫌悪感は、映像化されることによってかなり増した
・最後に心臓移植してもらった男の子が屋敷のあった場所を訪れて庭一面に広がっていた薔薇の匂いを感じる、っていう原作のオチが私的には良かったんだけど映像だと匂いが描写しづらいからなのか省かれてて残念だった 彼が心臓移植したことによって瑞穂ちゃんとあの屋敷の記憶を共有したっていうのがもっと伝わりやすくなっていると、観客にとっても遺された家族にとっても、より大きな救いになったんじゃないかと思う
・上記の点について、原作者の東野圭吾は臓器移植によって嗜好や記憶が受け継がれることがあるっていう話を踏まえて書いているんだろうなと思っていたから、やっぱりそこが省かれていたのは残念
・大学の講義でやった、誰も救われないオチしか待っていない作品は、最後にファンタジー的希望を持たせることでしか、救いを生み出せないっていうのがこれを見てよく分かった
・どの俳優さんたちも演技力は素晴らしかったけど篠原涼子が圧倒的だった みんなが死んだような目(死んだものを見るような目?)で瑞穂ちゃんの動かされている姿を見守る中、母親だけが目をキラキラ光らせていた姿が印象的だった
・初めての試写会で、しかも松竹のビルの中ですごいドキドキしたけど楽しかった!東銀座にいる人たちってみんな上品で素敵