夢生

人魚の眠る家の夢生のレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
4.8
生命倫理を問われたようで、衝撃的な作品でした。
悲しくて泣いたののではなく、やり切れなさで涙が出ました。
観る人の置かれた立場、性別、年齢によって考え方はそれぞれだと思うけれど、『脳死=人の死』という医療サイドの言い分と、『生きている』と真っ向から反論する親サイドは緊迫感が張り詰めて重苦しい前半でした。

あやつり人形のように機械から送られて電子信号のままに動く『生きる屍』となった娘を、まるで生きているかの様に接する母は、盲信的に”生”に執着して狂気と化してしまうけれど、母親ならば誰しも薫子の思いに納得してしまうと思います。
ラストに少々のファンタジーと、未来への希望を残してくれたところに救われました。

そして、篠原涼子さんの”狂気的な母性”が凄まじかったです。
般若の形相に息を呑みました。
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