さとし

人魚の眠る家のさとしのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
4.4
真犯人は誰だ!みたいな展開の物語なのかと思いきや、全く違う方向へ行きました。ストーリーはともかく役者たちの演技がすごくてその側面は良かったです。

播磨家夫妻(篠原 涼子と西島 秀俊)は二人の子を持ち離婚調停中だったのですが、娘の瑞穂がプールで溺れ意識不明になり、脳死と判定さるかの瀬戸際になり、臓器移植するかしないかと言うところで瑞穂の指が動き出し・・・。

主演は「アンフェア」の雪平さんでおなじみの篠原さん。はじめは娘と息子を軽くしかる程度という感じの母親ですが、徐々に強さを発揮するも脆さもあります。その辺りが見所です。西島さんは社長の貫禄がありますね。「散り椿」は不慣れな感じでしたが、今作は良かったです。川栄さんの演技は見たことがありませんが、阪口さんとお似合いでした。阪口さんはやっぱりこういう役なのかと思いきや意外な方向へ行きました。山口さんや田中さんはもはやベテランの領域です。そして、何と言っても良かったのは松阪 慶子さんです。最初おばあちゃんの泣き方ちょっとオーバーかなとも思ったのですが、その後どのシーンをとっても印象に残る感じで素晴らしく、しっかり決める所は決めてますね。

監督の堤さんはここのところ低迷していたのですが、役者さんの甲斐もあり良い映画だったと思います。ただ終わり方がちょっとミスが多かったですね。夢のシーンや臓器提供者が誰なのかわかるシーンはいらなかったです。ハートの銅像のところで終わっても良かったのではと思います。あと子役達が本当に素晴らしかったです。この子が良かったことではなくみんな良かったです。

好きなシーンはクライマックスの包丁シーンですね。娘役の子が100%篠原さんを信頼していないとあのシーンは作れないですね。その場にいた役者さん全員とスタッフの方々が一体となって作り上げたシーンだと思っています。まあ警察の対応は微妙でしたし、その前の篠原さんと阪口さんの関係も微妙でした。「第二の父親です」って言われても・・・。

それにしても、もし自分がああいう立場になったらどうするかを考えてしまいますね。どんなに幸せそうな夫婦にも何かしらの事情はあるんですよね。他人はそっとしてあげることしかできませんね。

いろいろと考えさせられるいい映画でした。
見て良かったです。

来週のMONDAYTHEATERは「日日是好日」の可能性が浮上してきました。ザ アウトローは12月に入ってからですね。
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