このレビューはネタバレを含みます
手堅く作ってあるのでそんなに貶すところはないんだけど、めっちゃ褒めたいところもない映画。
キャスティングと演技はかなりいいと思う。
篠原涼子の思い込みの激しい母親像はぴったり。娘の体が動き出した時の喜びながら目がいっちゃってる感じはさすがの演技でした。
松坂慶子は所々オーバーアクト過ぎたけど。
男性陣が全体的に良かったかな。
西島さんは外面だけ良くて優しげだけど心無さもある夫役はドはまり。
坂口健太郎も好青年に見えて人の心がいまいちわかってない感じが上手かった。
そして田中民は出てくるだけで画面が締まる。
後、子役たちはみんな熱演でしたね。わざとらしいところももちろんあるけどあの泣きの演技はかなりのもんでは。
誕生日会からの一連の流れはみんなすさまじい演技で話的には急展開すぎるけど、白眉でした。
ストーリーは「東野圭吾ってそういや理系だったな」って思い出させてくれる半SFのドラマ。ちょっとだけどんでん返し要素もあります。
倫理的にもふざけたり冒険できるような内容じゃないので良くも悪くも堤さんも東野さんも冒険せずに手堅く作った印象。
所々画面がグラグラ手持ちで揺れすぎて嫌なところもあるけど、カット割り、構成、BGMまでオーソドックスにマジメ~に撮られてて見ごたえはあるし損した気分にはならない。
ただこの題材ならここに落ち着くしかないよねっていう鑑賞後の感想。だからってもし何かあれ以外のオチで倫理的に冒険されてたら自分がどんな感想を抱いていたかわからない。
ストーリー的には台無しでも、このまま娘が目を覚ましてオールオッケーのハッピーエンドにならないかなって思ってしまうくらいには感情移入していました(笑)。
気になったのは
アバンタイトルで家にボールが入って取りにきた子が後にみずほちゃんの心臓を移植されるわけだけど、あのタイミングでは野球できるくらい元気だったうえに、移植されて回復し、みずほの家を見に行ったら更地になっていたのがちょっと時系列的に納得できない。みずほ事故る→少年が寝たきりのみずほを見る→みずほ死亡→少年移植で回復して家を見たら更地になってた、までの期間がどれくらいなのかわからん。
あの家を一家が出払ってしまったのは何でなのか。
後、タイトルの「人魚の眠る家」の意味は何か。
屋敷の門に人魚の飾りがあるのが表面上の理由になってるけど
物語としては動けないみずほを脚がないから歩けない人魚に例えているのかな。
もしくは水の事故でああなってしまったから?
いまいちわからない。知ってる人がいたら教えてください。(笑)
見て損はない力作です。
「明日の記憶」も良かったし堤さんは意外とシリアス一辺倒の方が向いてるかもしれない。