トムトム

人魚の眠る家のトムトムのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
3.0
同年代の子供がいる身としてはヘビーに刺さるお話です。

プールの事故で脳死状態となった小学校入学前の瑞穂は最先端技術により世界初の全身義体化を敢行し厳しい訓練の後に超ウィザード級ハッカーとなり公安9課の設立に・・・というストーリーだったら良かったのですが。

監督 堤幸彦、脚本が「あしたのジョー」の篠崎絵里子、東野圭吾作品の映画化という事で鑑賞前のハードルが限りなく下がっていたのが功を奏したのか意外に面白く観られました。

脳死判定するかしないかが家族側に選択権があるという日本の制度に色々と考えさせられます。
自分の子供が同じ状態になったら有り得ない奇跡を願ってしまうと思いますし、そこに色々な宗教や疑似科学やスピリチュアルな物が入り込んでくるでしょう。

死を定義するには生を定義しなければならないでしょうしそれは医学や科学や法律ではなく哲学や倫理の範疇だと思います。

前半パートは良かったのですが後半からあからさまにクオリティが落ちている様に思います。

なんとなくいい感じのピアノBGM、なんとなく不穏な蒼暗い照明、なんとなく挟まれる朝焼けのビル街や工場など 適当というか手癖で作っている様にみえます。

思っている事を全てセリフで語らせる邦画の悪いクセもありますし、子供が健気に泣けばそれはいじらしくて悲しいですが感動とは違うと思います。

ラストの砂糖にハチミツをまぶした様な、蛇足に蛇足を重ねたエンディングは本当に嫌いです。
娘の別れのセリフや心臓の鼓動音をかぶせるなどのシーンはダサい。
ここが無ければもう少し楽しめました。

警官「そろそろ帰ってイイっすか?」と絶対に思っていそうであのシーンは全然ノれませんでした。
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