このレビューはネタバレを含みます
原作未読
子供の脳死と母親の狂気という重いテーマを扱った作品だが、違和感だらけで全く乗れなかった。
まず、金だけでなく技術まで簡単に整う篠原涼子を取り巻く環境設定の作り方が安直過ぎるのも気になるが、それよりも篠原涼子があれだけの狂気に走る為には彼女のバックボーンをもっと描かなければならない。
この作品では子供を介しての篠原と松坂慶子のやりとりしか描かれておらず彼女の人格形成に関わる背景的な部分が気薄過ぎる。
それと同じ事が坂口健太郎にも言える。
彼はどう見てもマッドサイエンティストなのだが中途半端な描き方で何も見えて来ない。
それに彼の脳信号の研究を登場人物達は一様に意味の無いものだと言い張るが本当にそうなのだろうか?
脳死の子供に対してしている事が無意味なだけであって助けられる人は大勢いると思うのだが?
一番違和感を感じるのは篠原も坂口も最後まで何の反省も無い事だ。
それどころか娘の亡霊に感謝されるという訳の分からないお涙頂戴こそがこの作品の本当の狂気な気がする!