脳死と心臓死にまつわる議論は、法学部時代に刑法を学んだ際、「殺人と死体損壊の差は大き過ぎるんだからもっと明確に線引きしなきゃダメだろ」と内心思いながら学説を覚えた記憶があります。しかし仮に身内がその現実に立たされた時に簡単に割り切れるのか?という話で、本作もその辺りをかなり考えさせられます。
脳と心臓、いずれか一方のみが正常に機能している幼少患者がそれぞれ登場しますが、各々の親が抱える本音を推し量ると本当に胸が痛みました。
何をもって"生きている"と判断するのか、矛盾した考えが入り乱れるのは当然のことであり、西島さんの最後の一言はそれを象徴的に表していたと思います。
死を納得して受け入れるための理由付けは、今後の医学の発展に伴って変化していくのでしょうが、どうか誤った方向に進むことだけは無いように願いたいです。