シアン

人魚の眠る家のシアンのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
3.9
おおげさかも知れないが、死生観が少し変わった。

「死ぬ」ということの定義。何を以ってそれを「死」と呼ぶのか。

脳死?
心臓死?
両方停止したら、死?

いずれにせよ、本人の意思はもうそこにはない。あるのは周囲の、生きている人間の意識、思い。後悔、絶望。訪れることのない未来、希望。

初めは皆が同じ方向を向いていたのに、やがて相容れない感情を抱いていく様がやりきれない。誰も悪くないし、互いを愛するが故のことなのに。

クライマックスの母の叫びと行い。
圧倒的な説得力を伴い語りかけてくる。胸が張り裂けるようだった。

愛する者が同じ状況に陥ったとき、自分ならどうするだろう。また、愛する者はどうして欲しいと願うだろう。

こうして考え、生きることができている今、愛する人と共にこの作品を観られて良かった。
シアン

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