馮美梅

人魚の眠る家の馮美梅のレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
3.5
医療の進歩によってひと昔では助からなかったような病気も決して死ぬとは限らなくった一報、人間が死ぬということが難しくなってきたような気がする。(自殺や尊厳死は論外です。あくまでも病気など自然死に限る)

わが子が不慮の事故で脳死判定されるが、納得いかない家族。
わが子の死を認めたくない、心臓は動いているから…

実際問題、自分が脳死と言われた時家族にどうしてほしいのか、家族がもし脳死と宣告された時、自分はどういう判断をするのか、とても難しい。自分は脳死と言われたら延命処置は受けたくない(もう死んでいるものと判断してほしい)

父親は会社を経営していて、障害者や老人介護などのための補助機械を作っていたりして、そこの研究者の手伝いもあって、娘に機械を付けて動かしたりする。それって生きているの?少しずつ、実権はエスカレートしていくし、母親も狂気じみてくるし、父親も最初は違和感を感じず、機械的にでも動く我が子を受け入れていたけど、やはりそれはおかしいこと言うことを感じる。

何とも恐ろしくもあり、でもその狂気はあまりにも切なすぎる。
彼女を取り巻く人たちにとってもあまりにも悲しく、苦しい現実に。

でも、最後ようやく彼女の死を理解し、臓器提供をする。
娘の肉体は滅んでしまったかもしてないけれど、彼女が与えたそれぞれの命は他の人の体で生き続けていく。

オープニングで登場した男の子もまさにそう。
彼女の心臓によって、元気な体を取り戻し、そして彼女の記憶とともに生き続けていく。臓器移植をした人の中では移植前の人物の記憶や趣味趣向がドナーに受け継がれる場合があるみたいなことも時々あるみたいですもんね。

家族の死をどう受け止め、受け入れるのか、そんなことを考えさせられる作品でした。
馮美梅

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