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人魚の眠る家のはまちのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
3.5
結論からいうと、
この物語はわたし好みではなかったし、
気持ちの良い感動を味わったかというと、
それはNO、である。

しかし、
物語のテーマと、登場人物の感情の流れ、
これに関してはさすが東野圭吾原作だと言える。
こんな物語があるのか、そしてそこに置かれた人々はこんな感情を持つのか、と、
実話ではないけれどもし本当だったら、と想像させるのがあまりにも巧みで、
登場人物のキャラクター設定も然り。
重たい雰囲気の物語も、そう感じさせる隙を与えない。
原作は未読だけれど、今作では
どこか悲しげなピアノのBGMや、子役含め達者な俳優たちが、観るものを決して飽きさせない。

わたし好みでなく感動もなかったと述べたけれども、
具体的に言うと、これは子を持つか否かで感想がまったく違うと思ったのだ。
わたしは完全に、篠原涼子演じる母親のした選択には反対で、
最終的に「それ見たことか」という感じだった。
自然に逆らい続けるなんて悲劇しか待ってないだろうと。
主人公に感情移入したいタイプなので、
それは違うよ奥さん、と思いながらずっと観てた感じ。
でも、それでも最後は救われたのがよかった。
わたしもね。
子供を取り巻く大人たちの物語だったのに、
ラストは根こそぎ子供が持っていく。
全員が閉口し、そして魔法が解かれる。
ズルいけどね(^^;

共感や感情移入はしなくとも、
主人公たちの感情の流れからは目を離せなかった。
主人公がじわじわと狂気に満ちていく感じ、
それに気づきながら見守る家族、
感情を秘めたり爆発させたりする子供たち、
生と死、自然と科学、本能と理性、
すべてをわかりやすく映画として見せてくれたところがこの作品の素晴らしさだと感じる。
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