カタパルトスープレックス

1987、ある闘いの真実のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
3.7
韓国が民主化を成し遂げた1987年の一連の出来事を取り上げた歴史群像劇です。

時系列で言えば、1979年の朴正煕暗殺事件を描いた『KCIA 南山の部長たち』(2020年)があり、そこから全斗煥が軍事クーデターで政権を奪う過程を描いた『ソウルの春』(2024年)がある。そして全斗煥大統領による軍事独裁政権が引き起こした光州事件を描いた『タクシー運転手』(2017年)があり、全斗煥が大統領の座から降りるきっかけとなった6月民主抗争を描いたのが本作です。

いやあ、この事件からまだ40年経ってないんですよ。お隣の国がこんなことになっていただなんて、今の今まで知らんかった。ってか、これよりヒドイ北朝鮮ってどんなよ?

群像劇なのでいろんな人物に焦点が当たるし、それぞれキャラがたってる。その中でも特に際立っていたのが内務部治安本部対共捜査所長のパク所長(キム・ヨンソク)でした。パク所長は北朝鮮からの脱北者で、共産主義者に尋常ならぬ憎しみを抱いている。その憎しみが暴走する。やってることは酷いし、許されることではないけど、その背景は理解できる。なかなか複雑なキャラクター造形。

今回は取り締まる側と取り締まられる側の両方が描かれてる。パク所長のインパクトが強すぎて、取り締まられる側のキャラがだいぶ弱い。そこまでのリスクを犯して民主化を目指す原動力が見えてこない。そりゃ、みんな民主化は望んでたんだろうけど、強い意志がどこから来るのか対立軸のパク所長と同じくらいは描いてほしかった。