真実だけで十分強度があるにも関わらず、おそらくフィクションであろう、学生運動家との恋物語を大切な後半に入れてくるもんだから、どうもバランスがおかしくなる。監督には若松孝二『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を観て欲しい。事件の痛ましさを観客に追体験させるような、気迫やら力強さやらは毛頭感じられず。がっかりだ。
韓国版『ペンタゴン・ペーパーズ』と称されているのをどこかで見たが、それは烏滸がましすぎないか。スピルバーグが輪転機を象徴的に美しく気高く描いた、いうならば“映画的な気持ち良さ”が、本作には毛頭感じられず。
事実は興味深いし韓国映画界のオールスターのようにいい面の俳優たちが並ぶ気持ち良さはあるものの、やはり語り方があまりに野暮でダサすぎた。