カテリーナ

1987、ある闘いの真実のカテリーナのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
5.0
民主化闘争を描く真実の物語
抗えない鋼鉄のような権力者への蟷螂の斧 拷問によって不条理に散った若者が見えない力を産む
拷問の証拠を消す為に検視をする前に火葬を急がせる検察 検事は法律を履行しようとするも上層部から圧力をかけられる
「考えずに言う通りにすれば良い」
検事は決して首を縦に振らない骨のある男だった 訳も分からず突然の息子の死を嘆く母親 せめて息子の手を握らせて欲しいと追いすがる母親は無情にその場から連れ去られる 車の音にかき消される絶叫
検事の信念は真実を追い求める同じ想いの
記者によって受け継がれる

真実は正義というバトンによって暴かれて行く 誰もが自分の事しか考えないこの世の中で 我が身を守る事よりも 信念の為に
行動できる人が実際にいる それを目の当たりにして 胸が震えた それを体現する
看守は電流を流され どんなに痛めつけられても拷問に耐えるが 姉とその娘の写真を
見せられた途端に 泣き崩れる その看守に向かって 所長が 静かに自分の
過去の話を始める
「本当の地獄を知っているか 家族を目の前で殺されるのを 止めることも声も出せず 見守ることしかできない それが地獄だ」
看守は身を引き裂かれる思いで 嘆願の涙を流す

拷問で命を落とした息子の遺灰を川辺に撒く父親の涙と無念の想いが その悲痛な叫び
が胸に突き刺さる
父親は川面に散った遺灰を 凍てつく寒空の
下 冷たい水を遺灰と共に掬い上げる
「こんなところにいる筈じゃない」
息子はこんな若さで死ぬ筈じゃなかった
未来は無限に広がっていた筈だった

犠牲になるのは
前途洋々な若者だということが
やりきれない
そして残された 年老いた親は
その後の人生をどう送っていくのか
途方にくれるのだ



いい映画だった
一人でも多くの人に見て貰いたい
学生運動家朴鍾哲拷問致死事件が核となる 民主化闘争という社会的なテーマながらエンターテイメントに仕上がってるのでとても見易かった
検事役ハ・ジョンウと所長のキム・ユンソクが素晴らしい
このコンビに外れなし
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